コラム

2026.01.19

自然の遊び場で子どもたちの生きる力を養う|エネルギーpark 大野志乃さん・小林順代さん

道志村・村民

エネルギーpark (エネルギーパーク)では、2022年から大野志乃(キャサリン)・小林順代(ゆっきー)の2人で、子どもたちの自然遊びをテーマに野外活動をしており、登山、キャンプ、畑仕事など毎月テーマが変わって自由な遊びを楽しめる。子どもだからと危ないものを排除しすぎずに、ときには見守りながら刃物を使って創作することも。2026年1月11日(日)にはみなもと体験館で餅つき大会を開催予定!臼と杵でぺったんぺったん。丸め体験や味付けも楽しめます。毎月楽しいイベントを開催しているエネルギーparkについてお話を伺いました。

自然の遊び場で子どもたちの生きる力を養う|エネルギーpark 大野志乃さん・小林順代さん

自然と人のエネルギーが交差する野外活動

ーーーエネルギーparkって面白い名前だなと思いますが、具体的にはどういう活動をしている団体なのでしょうか?

 

キャサリン【以下キャ】)道志村と都留市を拠点に自然と人のエネルギーが交差する野外活動というテーマで、子どもたちを中心とした自然遊びを提案しています。具体的には木工や、畑仕事、登山、キャンプ活動などです。道志村でずっと仕事と子育てをしてきたわたしキャサリンこと大野志乃と、森のようちえん勤務で保育士のゆっきーこと小林順代の二人で活動しています。

最初にわたしが管理している羽休めの里という古民家宿で道志村の子どもたちを集めてお泊まり会をおこなったんです。自分たちで買い物に行ったりカレーを作ったり、木彫りのスプーンを作るワークショップを一緒にやったりしました。そのとき想像以上にみなさんに喜んでもらい、道志村の人たちにも自然とふれあったり、みんなでいろんな体験をしたりする場が必要なんだと感じました。それからいつも仕事で薪作りをしていた土場の素晴らしさをみんなに紹介したいという気持ちもあり、ゆっきーが野外保育について深い知識を持っていたので、じゃあ彼女の力を借りてこのフィールドを活用しながらみんなに遊びを提供できないかなと思ったんです。

 

ゆっきー【以下ゆ】)エネルギーparkという名前はキャサリンが考えたのですが、土場で遊んでいるときに大きな丸太を運んだり地面を掘ったり、自然と触れ合っていると、大きなエネルギーが動いているのを感じるんです。人と自然が交わったときに発火するようなエネルギーが生まれるのを感じて、エネルギーparkという名前で活動するようになりました。

 

 

ーーーなるほど、それでエネルギーparkなのですね。その最初の企画をやろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

キャ)道志村は自営業やサービス業の家が多いので、夏休み大人たちは書き入れ時です。なので夏休みはうちも含めてどこにも行けない子どもが多いなと思ったんです。だったらここでちょっと特別な経験になるような体験ができたり、子ども同士の交流の場になったりしたらいいなと思いついて企画しました。

 

ゆ)子どもたちってすごくて、最初はそれぞれ違う遊びをしているんだけど、みんな自分で考えて遊びを見つけ出していくんです。じっとだまって見ているだけかと思ったら突然何か他の子が必要としているものをそっと置いていく子とか、チームを作って協力し合って何かを作る子とかみんなそれぞれ個性的ですっごく面白いんです。それって自然のなかにいるからこそできることなのかなと感じたんですよね。それでぜひこの活動は続けていきたいなと思ったんです。

自然と人のエネルギーが交差する野外活動

村の方々へ恩返しとなる活動

ーーー村のお年寄りたちなど、さまざまな人たちの協力を得て活動されているようですが、そもそも人脈があったからできたというところはあったんですか

 

キャ)もともと道志村でずっと仕事をしていて、その地域の地主さんとか近所のみなさんともお話するうちに生まれた信頼関係がたくさんありました。そういう方々にご恩を返したいと思ったときに、みなさん子どもたちのことが大好きなので、子供の笑い声を作れる活動を一緒にできたらご恩返しにもなるのではと思ったんです。そして村の方々がもともと持っている貴重な技術や伝統文化を子どもたちに教えていくこともすごく大切なことではないかと思っています。

 

ゆ)協力をしてくれる村のおじさんたちは本当にかっこよくて、お祭りをやりたいと提案したときもあっという間に舞台を作り上げてくれたり、その場でいきなり必要なものを作り出してくれたり本当にすごいんです。それぞれ得意分野があるので、この分野はあの人にお願いしようという役割分担みたいなものも自然にできていきました。そういう”ひと”が持っているものって一番の村の価値だと思っていて、それを伝えていくことがとても大切なことだと考えています。

 

 

ーーー地域の方にしっかり恩返ししていくという考え方がすごく素敵ですね。道志村と都留市の両方で活動されていると思いますが、二つの場所に違いはありますか

 

キャ)今は都留での活動は登山が主なのですが、先日都留のつるビーパーク・いこっとで野外体験として薪割りとどんぐりプールの遊びをやったときに、素材と遊ぶという遊び方がわからない方も結構いて、興味を持ってたくさんの方が来てくれました。二つの場所で活動することで、都留の人口が多いところで森に入る前に自然のものに触れる体験をしてから、次は道志村の実際の森に入って体験してもらうという段階を踏んでもらえるのが良いですね。

村の方々へ恩返しとなる活動

生きる力を養える自然遊び

ーーーでは、子どもたちとふれあうときに大切にしていることを教えてください

 

ゆ)手出し口出しをできるだけしないことがまず1番ですね。子どもが何をやりたいのかをまずは一歩ひいて観察する。それから本当にその子がやりたいことを見つけたときに、後ろからバックアップすることが大事です。もちろん危険がないかどうかは事前にその場所を見て確認します。これは危ないなと思う箇所は事前に整備するなどして取り除いておきます。ただほどよい危険はあっていいと思っています。あまりきれいに整えてしまってもそれはもう楽しくなくなってしまうので。

 

面白いことに、子どもはやりたいことをみんな何かしらちゃんと見つけますね。木の枝なのか、風の流れなのか、草なのか花なのかみんな違うんですが、その子が興味をひかれるものって自然の中に何かしら必ずあって、それもその子が何にひかれるのか動き出すまで観察してひたすら待ちます。特にこちらでなにか持って行ったりなどの誘導はしませんね。どうやって遊び始めるかは、その時のメンバーとその日の天気や季節によって全然違っていてそれも本当に面白いです。雨の日は土がやわらかくなって穴掘りがしやすいと発見した子がいると、みんなで穴掘りをはじめることになったり。その日その日で全然遊びが変わるから、同じような日って1日もなくて本当にそのときだけの宝物の時間だなと思えます。自然の力って本当にすごい。みんな例外なく何かに夢中になるんですよね。

 

キャ)やっぱり実際に自分の目で見てさわって、においをかいで体験するってものすごく大切で、こちらもそれを一緒に体験することで共有できることがあって、その経験は本当にものすごく子どもたちの感性を育てるんですよね。そういう時間を守ってあげたいし、大切にしたいと思います。

 

 

ーーー本当に素晴らしい体験ができそうです。では今までやってきてよかったことと大変なことをそれぞれ教えてください

 

ゆ)よかったことはやっぱり道志村の地元の方々とつながりができたことがすごくよかったですね。困ったときに頼れる人たちがたくさんいて心強いです。あとは自分が実際に子育てをしているときに、道志村の中にこんなに遊ぶところがいっぱいあるんだと気づけたことはすごくよかったですね。

 

キャ)わたしは毎月続けてきたことで、子どもたちともその親御さんたちとも深い関係が築けていることがすごくうれしいです。ひとりの子は小学校を卒業しても続けて来てくれていて、自分の居場所ができたと言ってくれたりもしました。年齢関係なくみんなで同じ体験を共有していくことってすごく大事なことなんだと気づけましたし、そういう子がいるというだけで続けていく原動力になっています。本当にうれしいですね。

大変なことは、毎回の告知や集客ですかね。あとは天気によって活動が制限されることですかね。登山は特に天気に左右されるので難しいですね。でも自然相手なのでそこは仕方ないと思っています。

生きる力を養える自然遊び

自然の中で五感や知恵を育んで欲しい

ーーー今後どのような活動をしていきたいですか

 

キャ)今後はよりいっそう都留など近隣の都市の子たちで、自然遊びをしたことがない子たちも対象に、道志村の豊かな自然を体験してもらえるようなプランを企画していきたいなと思っています。

あとはちょっと居場所がなかったり、フリースクールに通っていたりする子や、すでに少しずつ取り組んでいますが障がいを持った方なども対象に楽しめるようなことをやっていきたいなとは思いますね。もともと感性が研ぎ澄まされている方も多いので、自然の中にいるだけでも感じることがものすごくあるんですよね。これはみんなそうですが刺激をうけることで想像力や発想力がどんどん開いて行ったりするので、そんな体験をたくさんしてもらいたいなと思っています。

それからここで培われるスキルの数々は防災の観点からも非常に役に立つと思っていて、楽しむことだけじゃなく、自分の生きる力を確保できるんだと実感できる場でありたいと考えています。

 

ゆ)自然遊びって感性、感覚などの五感を成長させるんです。ダイレクトに自然からの刺激(ある意味で過酷な)を感じることで感性が本当に豊かになると思います。同時に知恵も育つと考えていて、今日は寒くなりそうだから暖かいものを身につけようとか、雨が降りそうだから靴下や靴の替えを持っていこうとか、自分で過酷な自然を体感しているからこそ考えることができるようになります。自然の中で過ごすことはすべてが学びになるんですよね。受け身ではなく、自分から考えて行動できる力は困難に打ち勝つ力にも通じると思います。

 

 

ーーー力強いメッセージが自然の中にはあるんですね。最後に道志村で子育てをしている、またはしたいと思っている方々へメッセージをお願いします

 

キャ、ゆ)道志村には楽しく遊べる場所がたくさんあるので、わたしたちと一緒に楽しく遊びましょう!親子だけでは行けないような場所もありますし、遊びも限られてしまうかと思いますが、みんなだったらできることがたくさん増えるのでぜひ参加してもらえたらと思います。

未就園児は親子参加で子どもは無料になります。大人のみの参加も大歓迎です!

自然の中で五感や知恵を育んで欲しい
Profile

大野志乃さん/小林順代さん

大野さん:北海道出身。道志村の自然豊かな環境で生活や子育てをしながら培った経験を活かし、子どもと大人のための野外遊び「エネルギーpark」を3年続けている。現在は古民家宿運営、重度障害を持つ方とのブック制作や富士川町の里山とまちを繋ぐプロジェクトに関わり、みなさんの命のストーリーを引き出しながら活動している。

 

小林さん:保育士歴17年。森のようちえんでの野外活動やモンテッソーリ教育を通し、子どもが本来持っている力を尊重し、その力がのびやかに育つ環境づくりに携わってきた。片づけコンサルタントとして心と家の循環を整えるサポートも行い、人、自然、モノが調和して循環する”心の平和” を、幼少期から育んでいける場と関わりを作り出すことを目指している。

エネルギーpark Instagram:@energypark2023